勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
うた様。
そう呼ばれることを誇りにしようと思う。
きっと私はうたと言う名前を好きになれるはず。
ずっと本を読むたび私は三成の妻、うたという人に思いを馳せてきた。
三成に愛された人。
たった一人の彼の妻。
彼に愛され、唯一彼の子供を産んだ女性。
珍しく側室を持ったという史実のない三成のたった一人の妻うた。
私は彼女がずっと羨ましかったんだ。
関ヶ原で三成が敗戦した後、彼女も佐和山で自害した。
愛し、愛されたまま二人は人生の幕を閉じた。
伝わっている史実とは違う現実。
三成の妻は秀吉の側室になった。
彼に妻はいない。
ずっと架空の人物が彼の妻として伝えられてきたのだろうか...。
それとも紅葉さんや私のようにうたと名乗る女性がいたのかもしれない。
隠された真実。
うたと名乗ることに誇りを持とう。
それが歴史に残る彼の妻の名前なのだから...。
たった一つ譲れないものが出来た。
私以外にうたはもういらない。
私が彼の最後の妻になりたい。
彼に愛される唯一の存在になりたいと思った。
その気持ちはもう譲れない...。