勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
重い瞼を押し上げると見慣れない天井が瞳に映った。
「頭が痛い...。」
起き上がろうとするとズキズキと痛む頭。
額の上には濡れたタオルがのせられている。
プツリと途切れた記憶の糸を辿ると涙が溢れてきた。
「お兄ちゃん...。」
一緒にいたかった。
一緒に生きたかった。
魂だけでも側にいて欲しいと思ったのに...。
私はお兄ちゃんにまたおいていかれたの?
「おにいちゃん...。」
お兄ちゃんに逢いたい。
逢いたいよ...。
泣き続ける私の頭にぬくもりを感じた。
「さっき逢ったばかりだろうに...。」
聞こえてくるのは優しいお兄ちゃんの声。
「紫衣を独りにしないで。」
「紫衣は独りではないだろう?」
「お兄ちゃんに側にいて欲しいの。」
「俺は側にいる。紫衣と一緒に生きていく。」
「ずっとよ..。」
「あぁ、ずっとだ。」
「約束よ。」
「約束する。」
目の前のお兄ちゃんに縋りつくように腕を伸ばせばその胸に抱き寄せられた。
「紫衣、俺は佐和山にいる。これからもずっと佐和山でお前を見ているよ。」
「イヤよ!側にいてくれるっていったじゃない!!」
「忘れたのか?俺は佐和と魂を共有している。お前の側にずっといるんだよ?」
「佐和さん?」
「そうだ、佐和と一緒に生きていくのだろう?」