勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
暫く抱きしめあった後、石野さんの腕から私は解放された。
「紫衣、起きれるか?芽衣ちゃんと嶋田が隣の部屋にいるんだ。」
「はい、起きれます。」
「紫衣に相談なしに悪いとは思ったんだけど二人には話してしまったんだ。」
石野さんの話というのは私のこと、そうなんだよね?
そんな話信用してくれたのだろうか...。
ずっと芽衣ちゃんには話したかった。
だけど私が本当の紫衣じゃないって知ったら芽衣ちゃんが変わってしまうんじゃないかって怖かったんだ。
芽衣ちゃんの本当に大切な紫衣は私がお兄ちゃんの側に導いてしまった。
それを知られるのが怖かったんだ。
「芽衣ちゃん怒ってましたか?」
不安で仕方ない。
もう友達じゃないって言われたら寂しすぎるよ....。
「どうして?」
「私は本当の紫衣じゃないから..芽衣ちゃんの大切な紫衣と入れ替わった私を芽衣ちゃんはきっと許してくれない...。」
怖い...。
怖いよ.....。
芽衣ちゃんは私をどう思ってるんだろう...。
「彼女は怒ってなんかないよ。それより今、紫衣が泣いていることをとても心配している。だから、顔を見せてやれよ。大丈夫だから。」
石野さんの言葉に従って私はベッドから起き上がると部屋の扉を開いた。
そして芽衣ちゃんと嶋田さんが座るソファーまでゆっくりと歩いたんだ。