勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


「お前らのほうがよっぽど熱ィだろうが..なぁ、紫衣。」


突然ふられた言葉に私は頭が真っ白になった。


恐怖心が取れていない私がみんなの会話に参加できるはずもなく石野さんの言葉にコクリと頷くことで応えた。



「紫衣、そんなに怖がらないで。」



俯いたまま顔を上げることの出来ない私にかけられた芽衣ちゃんの言葉。


それでも私は芽衣ちゃんを見ることは出来なかった。



「紫衣、俺を信じろ。大丈夫だって言っただろう?」


私の肩を抱いている彼の手に力が入り、私は彼の胸に引き寄せられるようにして抱きしめられた。


彼の胸の鼓動がトクトクと規則正しく聞こえてくる。


とても穏やかな音を出す彼の胸に抱かれて落ち着いた私は彼の胸を柔らかく掌で押して彼から離れたんだ。




「芽衣ちゃん、今まで黙っていてごめんなさい。」



彼の胸から離れた勢いで私は芽衣ちゃんに向かい合うようにして顔を合わせ、言葉をかけた。



「紫衣、ありがとう。」



溢れる涙が邪魔して芽衣ちゃんの姿が見えない私に掛けられたのは意外な言葉だった。


ありがとう?


どうして怒らないの?


私は芽衣ちゃんから大切な友達を奪ったんだよ?







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