勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「これにて一件落着ー!!」
しんみりした雰囲気を吹き飛ばすかのように嶋田さんの声が部屋に響き渡った。
「お前ってホント空気読めないよなー!」
「それでこそ嶋田さんって言葉だねッッ!」
笑い声と共に順に石野さん、芽衣ちゃんの言葉。
「俺はしんみりしてるのは苦手なんだよ!!空気読めないって人を無神経な人間みたいに言うなよ。」
石野さんと芽衣ちゃんにからかわれるようにして笑われる嶋田さんは眉をハの字に下げて困ったような表情を浮かべていた。
部屋の中にクスクスと笑い声が広がる。
私はもう一度芽衣ちゃんに視線を合わせて口を開いた。
「芽衣ちゃん、ありがとう。」
芽衣ちゃんはニッコリ笑ってくれたんだ。
「大丈夫だって言っただろう?」
得意顔の石野さんにもありがとうを伝えた。
私を受け入れてくれてありがとう。
紫衣を奪ったこと許してくれてありがとう。
そしてこの素敵な出逢いにもありがとう。
たくさんの想いがつまったありがとう。
たった一言だけどとてもたくさんの想いがつまった言葉だった。