勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
それから芽衣ちゃんとたくさん話をした。
私たちをテーブルに残して嶋田さんと石野さんは気を使ってくれたのかソファーに移動してテレビを見ていた。
「石田と別れたのはどっちの紫衣の意志なの?」
「すごく考えたんだよ。だけどあの人と付き合っているときずっと紫衣は泣いていたんだよ。自由にしてあげなきゃいけないのに自分が目を逸らしていることをずっと悔やんでいた。だから紫衣ならきっと彼を自由にする道を選ぶんじゃないかって思ったからさよならしたの。」
「紫衣ならどうした?」
「私?」
「そう。」
「同じことしたと思う。縛り付けているって思っていたらきっと最後はどんなに悲しくてもその人の幸せを願いたいもの。」
「同じだよ。やっぱり紫衣と紫衣は繋がっているんだね。私の大好きな紫衣はどこにも行っていないよ。私の目の前にいる。」
紫衣と繋がったままの私。
芽衣ちゃんの言葉を私を救ってくれる。
「ありがとう芽衣ちゃん。」
私の言葉にもう聞き飽きたよって笑いながら応えてくれる芽衣ちゃん。
それでも何度でも言いたい。
こんなに幸せなのも、こんなに穏やかなのも全て芽衣ちゃんのお陰なんだもの。
この世界に慣れない私をずっと支えてくれたのも芽衣ちゃんだったんだ。
だからこそ知られるのが怖かった。
でも知ってからも変わらずに私を大切だと言ってくれた芽衣ちゃんのあたたかい気持ちは忘れられないだろう。
この先何があっても今の気持ちが私を支えてくれる、そんな気持ちでいっぱいだった。
それから私と芽衣ちゃんは良君のこと、時代を渡った紫衣のこと、紫衣の大好きな三成の話をたくさんしたんだ。
そして私とお兄ちゃんが出逢った頃の話も全てした。