勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


テーブルを挟んで座る芽衣ちゃんに顔を近づけてコッソリ怖いくらい怒っていると伝えた時はもう遅かった。


芽衣ちゃんの後ろには嶋田さんがニンマリと不敵な笑みをたたえて立っていた。


私の背中にも人の気配。


この場合石野さんに決まっているよね?


それに背中に感じる負のオーラ。


きっと私を見下ろして仁王立ちしてるに違いない。


私は嶋田さんの表情で体が凍りつき、同じように芽衣ちゃんも石野さんを見て凍りついていた。




「随分と楽しそうだな。」



頭の上から落ちてくるのは石野さんの冷静な声。



「明日どこに行くんだって?」



続く言葉は嶋田さん。



芽衣ちゃん、やりすぎだよー!!

焦る私は芽衣ちゃんに助けを求めるようにジッと視線を送ったんだ。



「えっと...その、ね?明日は嶋田さんと一緒にプラネタリウムに行く予定ですッッ。」


背筋を伸ばして言い切るようにして言葉を紡ぐ芽衣ちゃん。


嶋田さんはそんな芽衣ちゃんを後ろからヒョイと持ち上げるとその胸に抱き寄せた。


嶋田さんにお姫様抱っこされる芽衣ちゃんは頬を染めて彼の胸に顔を埋めた。



「俺、このまま芽衣の家に泊まるから紫衣ちゃんよろしくな。」



そのままソファーの前に置いてある小さなテーブルの上から財布と車のキーをジーンズのポケットにねじ込むようにして入れるとスタスタと玄関に向かって歩いていった。



「芽衣ちゃん!!」



何がなんだかわからないまま芽衣ちゃんに声をかけると彼女は嶋田さんに抱き上げられたまま顔だけを私に向けてウインクをしていた。







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