勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「あ、あぁそうだな。」
そう言って私をソファーに座らせると石野さんは風呂の準備の為にお風呂場に行ってしまった。
冷たいソファーに座っているとすぐに彼のぬくもりが恋しくなる。
それでも何か私も出来ることがないかと思い、まずはテーブルの上のカップを片付けることにした。
キッチンに運んでスポンジを泡立ててキュッキュと音を立ててカップを擦った。
この時代は台所の片づけがとても楽しい。
モコモコと膨れ上がる泡。
取っ手を動かすだけで水はジャンジャン出てくる。
それはお風呂も同じだった。
シャンプーの泡。
たまに芽衣ちゃんと香りのとてもいい泡のお風呂も楽しんだりした。
私は泡がとても不思議で、そして大好きだった。
「何してるんだ?」
台所で泡を立てて遊んでいる私を不思議そうに見つめる石野さん。
恥ずかしくなった私は慌てて水道で洗い流した。
「洗い物を...。」
「泡で遊びながら?」
言葉を最後まで聞かずに意地悪な表情の石野さんの言葉に私は恥ずかしさのあまり俯くことしかできなかった。
そんな私を石野さんは後ろから抱きしめたんだ。