勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「俺も嫉妬した。」
ポツリと落ちてくる言葉。
彼の腕の力が私の体を締め付ける。
「お兄ちゃんはそんなんじゃありません。」
私は首だけで振り返って石野さんと視線を合わせた。
「きゃっ」
もう一度彼は私を横抱きにしたまま抱き上げて今度はソファーではなくベッドに私を運んだんだ。
柔らかいベッドにフワリと下ろされた私の隣に石野さんは寝転がり私の頭の下に腕をすり込ませて抱き寄せられた。
ドキドキと心臓が今にも爆発しそうなほど激しく動いていて体がとても熱くなった。
「紫衣..格好悪いな俺...。」
ギュッと抱き寄せられて彼の胸に顔を埋める私。
彼の胸も私と同じようにとても大きな音を立てていた。
「嫉妬するなんてホント余裕なさ過ぎ..格好悪い...。」
石野さんの自嘲するような呟きに私は首を左右に振って彼にしがみついた。
「嫉妬してくれるほど愛してくれてること、とても嬉しいです。」
とても素直に言葉が出たんだ。
正直な私の気持ち。
「好きだよ、好きすぎてどうしていいかわからないほど好きなんだ。」
額に落ちてくるのは甘い言葉と彼の熱い唇。
彼の顔を見たくて胸に埋めていた顔を上げるとその熱い唇は瞼に頬に、そして最後に唇に落とされた。
「私も、石野さんが好きです。」
熱を持ったような彼の視線に自分の視線を絡ませてそっと瞼を閉じた。
恥ずかしさと熱い視線に苦しさを感じて涙が込み上げてきたんだ。