勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
はぁーって大きな溜息を何回も吐き出す石野さん。
そんな石野さんを不思議に思った私は聞いちゃいけないって思ったのに聞いてしまった。
「良君がどうかしたんですか?」
「紫衣、ソイツの事好きだったのか?」
紫衣は良君が大好きだったよ。
だから私は首を縦に振って石野さんの問いかけに答えた。
「今でも?」
今?
紫衣はお兄ちゃんの側にいるんだよ?
今でも良君を好きなわけないよ...。
「今は紫衣はお兄ちゃんと一緒に生きているでしょう?だから良君はもう紫衣にとって過去の人で何も心配いらないと思いますよ。」
「え?」
「そうですよ!!そんな心配いらないんです!!池に写っていた紫衣はお兄ちゃんととても幸せそうだったじゃないですか!!」
「あ、あぁ。そうだな。」
おかしな石野さん。
そんなことに嫉妬していたの?
「だけど...お兄ちゃんを心配してくれていたんですね。石野さんって優しいんですね。」
ニッコリ笑って言った後、私は石野さんの胸に抱き寄せられた。
ギュッと強く抱きしめられて苦しいほどだった。