勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


眠りたくないと思っていたのに布団に入ると瞼が段々重くなってくる。


三成の帰りを待っていたいのに夢の世界が私を手招いている。



うつらうつらと眠りにいざなわれる私の耳に入ってくるのはざわざわと騒がしくなる人の声だった。


もしかして三成が帰ってきたのかもしれない。


そう思っても瞼は重く、どうにも開いてくれそうになかった。



起きなきゃ、そう思うのに動かない体。


瞼に一度ギュッと力を入れると思いっきり開いた。



その時同時に襖が開いて三成が部屋に入ってきたんだ。



どうしてこんなタイミングなんだろう...。


よりによってカッと見開いた瞳で彼の姿を捉えるなんて恥ずかしすぎる。




「おかえりなさい。」


おずおずと布団から起き上がり俯いたまま彼に声をかけた。



クスクスと笑いながら彼もただいまと返してくれた。



布団の上から動けない私の隣に腰を下ろした三成。


私は俯いたまま顔が上げれなかった。



「久しぶりに帰ってきたのに顔を見せてくれないのか?」



私の顎を長い指で持ち上げながら彼は言ったんだ。


顔が持ち上げられるのと同時に伏せていた瞼も持ち上げた私の瞳に映るのは大好きな彼。


彼の綺麗な顔は疲れからか少しやつれた様に見えた。



「おかえりなさい。」


もう一度彼の目を見て言葉を落とす私に彼も視線を絡めたまま返事をしてくれた。



「やっと帰ってこれた紫衣のところに。」


ギュッと私を抱きしめながら話す彼の胸に頬を寄せて私はコクコクと頷いたんだ。




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