勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「俺はお前にそんな優しい嘘をつかせるような頼りない男なのか?」
自嘲気味な彼の言葉。
私の気遣いが彼に余計な負担をかけてしまったことに気付いた私は大きく首を横に振った。
優しい嘘。
そう言った彼。
全部お見通しなんだね。
私が本当はとっても寂しかったことも、いつも逢いたいって思っていたことも全部わかっていたんだね。
「ごめんなさい、素直になれなくてごめんなさい。」
我慢しきれなくて涙が溢れて零れ落ちた。
「よい、寂しかったのだな?」
「はい。ずっと逢いたいと思ってました。」
ギュッと彼の腕の中に閉じ込められるように抱き寄せられて私は彼の胸に顔を埋めた。
「今日は紅葉さんにも同じようなことで叱られました。」
落ち着いてからわたしは今日のことを三成に話した。
暦がわからなかった私に何のために自分が側に仕えているのか意味がわかっていない、三成の気持ちが何もわかっていないって叱られたんだ。
「紅葉が正解だ。紫衣は余計なことは考えずにのびのびと暮らしていればよい。」
「そんな甘えたことがイヤだったんです。だけど私にも出来ることがあったってわかったんです。今日見つけたんです。」
「それは?」
「はい。あなたの妻として生きること...。」
「どういうことだ?」
「私はうたになります。」