勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
チュンチュンと聞こえるのは雀の鳴き声。
窓から朝の光も差し込んでいる。
守られるようなぬくもりに包まれていつの間にか眠りについていた。
ぐっすりと深い眠りを堪能した体は軽く、朝の光も眩しく感じない。
むしろ清々しいと感じていた。
だろう。
ひとりで目覚めたのなら清々しい朝を迎えるはずの今、私は瞬きを何度も繰り返していた。
「おはよう。」
私の顔のすぐ側には石野さんの微笑みを浮かべた眩しいくらい綺麗な顔があったから…。
太陽の光よりも石野さんのキラキラした笑顔が眩しくて瞬きが止まらなかった。
それに眠った記憶がない。
瞼が重くなって…
その前は何を?
昨夜眠りにつくまでの記憶の糸を手繰り寄せ頭の中が整理がついた頃には私をのぞき込むようにして体を密着させて隣にいる石野さんの表情が曇っていた。
「あの…おはようございます。」
近すぎる彼との距離に今更ながら恥ずかしくなった私は頬に熱を持ったまま彼に朝の挨拶をした。
「ん、おはよう。
よく眠れた?」
私の挨拶ににっこりと微笑みながら答えてくれる石野さんにホッと胸をなで下ろすと同時に彼の疲れきった顔に疑問が浮かぶ。
「あの…。私はとてもぐっすり眠れました。
石野さんは?」