勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
溢れ出し今にも零れ落ちそうな涙をグッと堪えた。
けれど、堪えていた涙はすぐに決壊したんだ。
自分でも驚くとんでもない行動に私の瞳からはポロポロと涙が零れ落ちた。
「ごめんなさい…」
目を大きく見開き固まったままの佐和さんに謝るしかない私。
熱を持った掌をギュッと握りこんだ。
余裕タップリな佐和さんをビックリさせてやりたかったんだ。
だけど、方法が良くなかった。
どうして、こんなことしちゃったんだろう…。
「紫衣…。」
私の名前を呼びながらズイッと佐和さんが近づいた。
怒ってるよね?
突然叩かれたりしたら誰でも怒るよね?
おまけに
「嘘つきッッ!」
なんて言われながら叩かれたんだもの。
怒ってて当然だよね?
俯いたまま動けない私の肩に佐和さんの両手がのせられた。
「ひっ」という小さな声が唇から漏れ、体もビクリと揺れたんだ。
怖かった。
怒ってる佐和さんを見たことがないから、怖くて仕方なかった。
だけど両肩に手が置かれまま彼はピクリとも動かなくなったんだ。
私は固く閉じた瞼をソッと持ち上げた。