勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「どんなお仕置きにしようかな?」
瞼を持ち上げて彼と顔を合わせるとニッコリと笑った彼が私に言ったんだ。
「ひっ…」
さっきまでの疲れた表情がキラキラと光を放ちながら輝くような笑顔に変わっているのに驚いたとともに、お仕置きという言葉に私は小さく悲鳴を上げるしかなかった。
だけど本気で怖いのかというと、そうではなく…
それは今まで佐和さんにお仕置きと何度も言われながらも、それらしい事をされたことがないからだろうかと考えている自分にも少し驚いた。
「何がいい?」
今から楽しいことが始まるよって副音声が聞こえてきそうなくらい楽しそうな佐和さん。
眠れなかったんじゃないかと思ったのが大きな勘違いではないのかと疑うくらいに元気だ。
心配して損したっていう言葉は今のような時に生まれたのだろうか…。
まさに損したって言葉がピッタリな状況に彼を叩いた事への申し訳なさよりも何故楽しそうなのかという疑問が湧いて出てきた。
「佐和さん、楽しそう…。」
そして感じたことはまた素直に私の唇から飛び出したんだ。