勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
震える手を一度ギュッと握り込んでまた開いた。
数回繰り返してから私は行動を開始した。
まずは…
ズボンを脱がす…だったかな?
ベルトにソッと指で触れた。
自分のベルトを外したことはあっても人のベルトは初めてだから緊張する。
それにあんまり強引にしちゃうと佐和さんが目を覚ましても困るし…。
カチャリと金属音が鳴ってベルトは難なく外すことが出来た。
ホッとしたのもつかの間、ほんの少し達成感を感じていたのに私の手は佐和さんの長い指に絡めるようにして繋がれ、そのまま引っ張られて彼の体の上にダイブしたんだ。
「何をするつもり?」
掠れた低い佐和さんの声。
体が緊張で固くなるのがわかった。
焦りと恐怖、それに調子に乗りすぎた後悔の感情が心をギュッと締め付けていた。
「紫衣?」
彼の体の上から逃げたくて必死で起きあがろうとしても難なく彼に阻止される。
「やっぱり白状させないと、とんでもないこと教えられてそうだな。」
溜め息混じりの佐和さんの言葉。
芽衣ちゃんに上級者編と念を押されていたのに挑戦したから、芽衣ちゃんが悪者になっちゃうッッ!
「芽衣ちゃんは悪くないです。
上級者編って言ってたのに私が何も出来ないのに挑戦したから…
だから…」
芽衣ちゃんは悪くないのって最後の言葉は嗚咽混じりで伝わったかどうかわからない。
「ホント、もう完敗だ。」
ギュッと私を抱きしめた佐和さんは目尻の私の涙を舌でペロリと掬い取った後顔中に唇を降らす。
時折チュッと音を立てる彼の口づけを受け止めているうちに涙は止まっていった。
「紫衣は今のままでいいんだ。
そのままでも充分俺は紫衣に魅せられてる。」
唇に彼の吐息を感じるほど近くで話した後重なり合う。
触れるだけの啄むような口づけを何度も繰り返した後、彼の舌が私の唇に割入ってきた。