勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「ヤバイ…」
熱を持った佐和さんの視線に絡ませるように見つめると彼はフイっと視線を逸らせて呟きを小さく漏らした。
ヤバイ?
ヤバイって何?
「佐和さん?」
不安になって話しかけると佐和さんは力なく微笑んで見せた。
「抑えるの結構必死…」
「え?」
訳がわからずキョトンとしている私に佐和さんは苦笑いを浮かべている。
抑えるって何を?
大変って何に?
「わかってないだろうな…。
紫衣は無自覚の小悪魔だよ。
俺、一生適わない気がする。」
溜息混じりの彼の言葉に頭が真っ白になった。
悪魔?
私が?
佐和さんを苦しめてるの?
「ごめんなさい――。」