勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


それから暫くして、着物が整ったのを見計らったように左近さんと紅葉さんが部屋に入ってきた。

恥ずかしさに耐える私に左近さんはくすくすと笑いを漏らしている。


こんな風に笑われて恥ずかしい思いをするのは全て三成のせいだと恨まずにはいられない。


一言文句を言ってやろうかしらと考えながら冷静さを取り戻す努力をした。


それなのに左近さんや朱理さん、そしてもじもじとする私の様子を不振に思った紅葉さんの追求はすごかった。


「何があったのさ。」


「何も…」


「みんな様子がおかしいじゃないか。」


「何も…」


「あーそうか。
そういうことか!」


「………。」


「俺だけ仲間外れにするつもりなんだな。」


「仲間外れだなんて…」


「じゃあ何があったんだよ。」


「だから、何も…」


「………。」


最後は黙り込んでギロリと睨みをきかす紅葉さん。


綺麗な整った顔で凄まれたら怖いんですけどッッ!


「そんなに拗ねるな紅葉、後で俺がこっそりと教えてやるから。」


「左近さんッッ!」



左近さんの言葉に不服そうに、だけど頷く紅葉さんを横目に私は左近さんを咎めるようにその名を呼んだ。



「おー怖い怖い…」


袖で口元を覆いながら言葉を落とす左近さん。


本気で彼が私を怖がる事なんて絶対にないとわかっているから溜息しかでない。



「それより本題に進むのが先だ。
お二方の招待の件、うまくいきそうですよ。」


左近さんの言葉にパアッと視界が明るくなった気がした。


「来て下さるんですか?」


喜ぶ私の目の前で大きく頷く左近さん。

だけど紅葉さんは何故か浮かない表情をしている。

朱理さんも苦笑いを浮かべている。





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