勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「男だけど?」
キッパリと言い切る芽衣ちゃん。
部屋の空気が一気に緊迫した。
「誰?」
「高校の友達。」
「何のために?」
「知らない。」
「出ろよ。」
「出ない。」
「いいから出ろって!」
「出たくない!」
2人の会話には私達が入る隙がない。
佐和さんと顔を合わせて部屋を出ようとして芽衣ちゃんに止められた。
「紫衣、電話…
石田からなんだ。」
芽衣ちゃんの言葉に目の前が真っ暗になった。
ソファーから立ち上がっていた私はフラフラとソファーに倒れ込むように座った。
良君?
一気に夢の事が頭の中で再生され、体が震えだす。
「紫衣、大丈夫だ。」
息が荒くて苦しさを感じる私を抱きしめてくれたのは佐和さんだった。
乱れていた呼吸は佐和さんのぬくもりを感じて次第に整っていく。
でも、頭の中では良君と真衣ちゃんの会話がずっと流れている。