勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
佐和さんは私を可愛くて憎たらしいって思ってるの?
「どうして?」
「そんなこともわからないなら彼女なんてやめちゃった方がいいよ。」
芽衣ちゃんらしくないキツい言葉に心がズキズキと痛んだ。
やっぱり私は佐和さんに相応しくない?
じわじわと込み上げてくる涙を唇をきゅっと固く結んで堪える私に、
「相応しくないとか考えてるでしょ?だけどそれは間違いだよ。」
更に困惑する言葉を芽衣ちゃんは投げかけた。
頭の中の整理がつかない私は何も言えず、ただ俯いて涙を零さないように自分の膝の上できゅっと拳を作る。
「紫衣ってホント強情で鈍感で…」
誉められるところなんて一つもないよね。
わかってるよ芽衣ちゃん。
芽衣ちゃんの言葉に私は先読みして心の中で返事をした。
「石野さんが大好きなんだね。彼が大切だから一緒は嫌なんでしょ?」
だけど、芽衣ちゃんの言葉は私の想像とは違ってて、彼女の的を得た言葉に私の我慢は見事に崩れた。
零れ落ちる涙はポタポタと音を立ててテーブルの上に水溜まりを作っていく。
「紫衣?
紫衣が彼を巻き込みたくないって思っても彼はそれを許せるわけないよ?だってね、彼も紫衣が思うのと同じ様に紫衣を支え守りたいと思ってるんだよ?
紫衣の事が大好きで大切だから許せないんだよ?」