勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
佐和さんが女の人と二人だけで?
一瞬止まった思考が動き出し、頭の中はカフェで向かい合い、微笑みあって珈琲を飲む佐和さんと綺麗な女の人の姿が浮かんだ。
サラサラの長い髪をかきあげる白くて細い指。
長く綺麗に整えられた爪にベージュのネイルが大人を感じさせる。
その綺麗な指を絡め取るように佐和さんと繋がれた時、
「嫌ッッ!」
叫んだ私の瞳に映ったのは驚いて目を見開いている芽衣ちゃんだった。
「嫌なんだ?」
意地悪な質問だよ。
嫌に決まってる。
絶対に嫌ッッ!
言葉を出せなくて頷く私に芽衣ちゃんはニヤリと笑って言ったんだ。
「石野さんの気持ちわかるよね?」
「佐和さんの気持ち?」
「やっぱ彼氏としては関係ないって言われても紫衣の元カレって肩書き持ってる石田と二人っきりってのは気になるんじゃない?」
良君は私の元カレで…
だけど、つき合っていたのは私と入れ替わった紫衣…。
けど、終わらせたのは私…。
何も知らない良君…。
「嫌…だと思う。」
しょんぼりと肩を落とす私に芽衣ちゃんはとても満足そうに頷いてみせた。