勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


朱理さんはとても気さくで話しやすい女の人だった。


着替えを済ませて今は朱理さんと一緒に甘いお菓子とお茶でお話をしている。


それは左近さんから言い使ったという城での生活の心得だった。


「窮屈に思われるかもしれませんが紫衣様は1人では屋敷から出ることは禁じられております。」


キッパリと言い切る朱理さんの言葉に胸の奥がズキリと痛んだ。


それは私がまだ左近さんの娘として恥ずかしくない振る舞いが出来ないから?


城に来る前左近さんの屋敷で突き放されたように話されたことが頭の中でグルグルと回っていた。

「そんなに不安そうな顔をしないで下さい。
紫衣様がどうとか言うのではなく屋敷に閉じこめていたいのは左近様が貴女様を思うが故の事でございますよ。」


「私を思うが故…?」


朱理さんの言葉を理解できなくて思わず口に出てしまった。


不思議そうにする私を朱理さんはコロコロと鈴を転がすようにわらって話してくれた。







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