勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「私はこれからも左近さんの娘として彼の側にいてもいいんですか?」
「もちろんです。左近様もそれを望んでおられます。」
瞳を潤ませる私の手を朱理さんはソッと握ってくれた。
白くて柔らかい手。
ゴツゴツとした大きな左近さんの手とはまた違うぬくもり。
「さぁ、お菓子を頂きましょう。
早く食べないと左近様が帰ってきてしまいます。」
そう言って朱理さんはお菓子をポンと口に放り込んだ。
キョトンとする私に朱理さんはニッコリと笑いながらお菓子を差し出してくる。
「このお菓子、殿のお部屋から拝借してきたものです。早く食べてしまって証拠を消してしまいましょう。」
首を傾げ、ペロリと舌を出した朱理さんはまるでいたずらっ子のように可愛らしかった。
「はい!!」
私も笑顔で応えてお菓子を口にした。
甘くて綺麗なお菓子はとても私を幸せにしてくれる。
独りぼっちだと悲しみ悩んだ気持ちも一気に吹っ飛んだ清々しい気持ちになれた。