勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


「紫衣は自分は今から420年先の未来の人間だと言うのです。
最初俺は信じられませんでした。でも確かに娘だった紫衣が幼女に姿を変えたのをこの目で見たのです。不思議なことにも信用するしかなかった。
そして紫衣は私の最後の時も殿の最後の時も知っていると話すのです。
420年後の紫衣が生きていたところで私も殿も本になって書かれていると...。」



真剣に話す左近に俺はため息をついた。



「そんなこと誰でも考えられることだろう。何か信用できるようなことがあったのか?」




世迷言に惑わされる左近ではないが一応確かめてみたくなった。


川原で逢った紫衣も死んだ俺と話をしたと不思議なことを言っていた。


子供のおとぎ話ではないのか?




「はい、紫衣は未来を語ります。今殿が進めている上杉の件紫衣は言いあてたのです。上杉の件は殿が内密に書状を送り進めていた仕事です。それを紫衣の口から聞いたとき私は愕然としました。信用するに値する言葉だと感じたのです。」




左近の言うとおり上杉との話は俺が秀吉様から直々に内密に進めよと仰せつかったものだ。

知る者は左近意外にいない。


それを知っていた紫衣。


益々興味が沸いた。



「左近、わかった信じよう。だが、お前は未来を知る紫衣をどうしようというのだ。」


「殿のお側に上がらせとうございます。」


「俺は側に女はいらん。それはお前も良く知っているだろう。」




殿はそっぽを向いたまま素っ気無く返事を返してきた。

いつもの殿に逆戻りだ。

女嫌いな殿。


どうやって説得しようか.....。















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