勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
滋賀県彦根市。
私は今紫衣と二人卒業旅行で滋賀に着いた。
石田三成が大好きな紫衣。
ずっと言いたくて言い出せなかった滋賀行きは真衣や結衣と別行動を取ることで実現させることが出来た。
「この場所を見たかったの。」
彦根について向かった先は有名な彦根城ではなく佐和山城跡。
紫衣がどうしても行きたいと言い続けた場所だった。
佐和山城は関ヶ原の合戦で三成率いる西軍の敗退後徳川方に攻められ落城した。
三成の後入城したのは徳川四天王の一人に上げられる井伊直政。
直政は善政の石田を消すため拠点を移し、彦根城を築城した。
三成の城、佐和山城は彦根城築城のため解体され廃城になった。
「何も残ってないじゃない。大変な思いで登ってきたのに石垣がほんの少しあるだけよ。」
紫衣は私の言葉にニッコリと微笑んで山の上から見える彦根城を指差した。
「芽衣ちゃん、あの城は本当は存在しないのよ。本当はこの場所にあったもの。
歴史が変わればあの城は存在を消すんだなって思うと楽しくない?」
普段から紫衣が良く話してくれた関ヶ原の勝敗。
もしも西軍が勝っていたら日本の歴史は大きく変わってた、首都だって東京じゃなかったはずって言ってたよね。
でも最近の紫衣は少し雰囲気が変わった。
夢見がちな柔らかい雰囲気がなくなった気がする。
それが私はとっても怖いと感じるんだ。