勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
死んでも尚悔いる程の失敗なんて私には解らない。
ただとても苦しいということだけは私にもわかった。
「諦めてはいけないことなの?」
「諦められないのだよ。」
遠くを見ているような無機質など輝きを放つお兄ちゃんの瞳から涙が一筋流れ落ちるのを見たとき私の胸もズキズキと痛んだ。
「泣かないで…。」
気の利いた慰めの言葉もかけることが出来ない自分が情けなくて私もつられるように涙を流していた。
「紫衣が何故に泣く?」
「わからない…。
わからないけど悲しいの。
切ないの。」
「お前は優しい娘だな。俺の為に泣いてくれる人がいるだけで俺は救われる。」
私の頬に掌で触れてからお兄ちゃんはグイと自分の涙を袖で拭った。
そして私の前に水瓶を置いた。
ずっとお兄ちゃんの横に置いてあった水瓶。
その水瓶を私の前にズイッと差し出すように置いたんだ。