勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「俺は自分の生きた道をやり直したいという思いが捨てられず、ずっとさまよっている。」
さっきも悔やんでも悔やみきれない失敗をしたと話したお兄ちゃん。
私に何か出来ないだろうかと頭の中に考えを巡らせる。
だけど私にはお兄ちゃんが悔いてることも嘆いている原因も解らないんだ。
「お兄ちゃんはどうやって命を終えたの?」
聞いちゃいけないのかもしれない。
だけど知りたいと思った。
興味本位とかじゃなく純粋にお兄ちゃんの生きた道を辿りたいと思ったんだ。
「俺は処刑された。」
簡潔な言葉。
背中が冷たくなったのがわかった。
「そう…。」
何か言わなきゃ、そう思うのに言葉が続かなかった。
何も出来ない私が聞くことではないのかもしれない。
力になれない私が聞いてはいけない。
心が冷たくなったまま私は何も話さずに俯き、膝に顔を埋めた。