平安物語=短編集=【完】



「私に…?」

と驚きながら言うと、姫は瞳を伏せて

「お父様、お母様が亡くなられてからずっと元気がなかったから…。

よくお母様と銀杏を眺めていらっしゃったでしょう?

だから、銀杏を差し上げたら喜んでくださるかと思って…」


「それで、銀杏の木に?」


「…ごめんなさい。」



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