平安物語=短編集=【完】



翌朝早く、宮中へ出仕なさる義道様の支度をお手伝いしました。

私を訪ねていらっしゃる時にお召しだった狩衣(カリギヌ)や直衣(ノウシ)とは違う、正装の束帯(ソクタイ)をお召しの凛々しいお姿に、思わず頬が緩みます。

そんな私をご覧になって、

「どこかおかしいですか?

変な箇所があるなら仰って頂かないと、北の方たるあなたの落ち度になりますよ。」

と恨めしそうに心配なさるので、

「いいえ、とても凛々しくて素敵ですわ。」

と言いおいて部屋の奥へと逃げ込みました。



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