平安物語=短編集=【完】
女房達は母屋から出て行き、私一人になって「お帰りなさいませ」と言う心づもりをしていると、いよいよ足音がすぐそこまでやって来ました。
「清子!!!!!」
「おか…」
私の言葉は、義道様に強く抱き締められて途切れました。
「でかした!でかした!」と、鼻声になっていらっしゃいます。
「義道様…?」
どうしてしまわれたのかと怪訝そうに尋ねると、義道様は私の肩をひしと掴み、私の目を見つめて
「私達の間に、女の子を授かったのですよ!!!」
と歓喜の声を上げました。