平安物語=短編集=【完】
姫様に先立って私が成人し、女房としてお仕えするようになりました。
男のお客様とも、奥様や姫様の仲介として言葉を交わすようになり、そのうちに知り合いと言える殿方が数人できました。
初めのうちは、世間話などして楽しく付き合っていたのですが…そのうちにみんながみんな、色めいた事を言い始めたのです。
下はお客様の従者から、上は中納言まで、六人の人々に言い寄られるハメになりました。
それは、想像していたのとは違って、嫌らしくて鳥肌が立ってしまうような境遇なのです。