平安物語=短編集=【完】
こんな無礼な姿で伺候しているのが他の人に見られないようにと、忍んで来た男のように朝早く局に下がります。
少納言様と鉢合わせになったら…と心乱れて、局に近くなったらわざと物音を立てながら歩きました。
でも、どうやらもう帰られたようです。
隣からは何の物音も、男がいる気配もせず、たまに隣人の寝言が聞こえてくるだけでした。
何も考えないで済むよう、随分早めに支度を始めました。
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