平安物語=短編集=【完】
「ええ、大輔の君でしょう?
間違ってなどいません。
三度目の正直で、やっとお逢いできました…」
三度目の正直…?
疑問に思いながらも、急いで服を身に付けます。
「一昨日は、間違えてお隣に入ってしまったのですよ。
慌ててここを訪ね直したのに、どういう訳かもぬけの殻でした。
昨夜も懲りずにやって来たのに、あなたは外泊でしたね。
お隣の方に笑われてしまいました。
そして今夜は、やっとあなたがいらっしゃった…」
そっと、抱きしめられました。