平安物語=短編集=【完】
そうして二カ月、過ごしていた。
もう…こんな生活ならば、いっそ出家して藤壺の菩提を弔おう…
そんな事も思い始めたある夜、藤壺が私の夢枕に立った。
「宮!! 宮…」
ひしと抱きしめると、藤壺も抱き返してくれた。
「私を一人おいて行ってしまわれて…」
涙もこらえきれずに言うと、
「申し訳もございません。
あまりのお悲しみように、我も忘れて惑い帰ってしまいました…」
と、藤壺も涙を流した。