平安物語=短編集=【完】



「登華殿が…?」


「はい。

おめでとうございます。」

にっこりと、藤壺が微笑む。

無理のない、美しい笑顔だった。


「…わかりました。」

そう言うと、藤壺がゆっくりと体を離した。


「では、私はこれで…

どうかお幸せに…」


「藤壺…っ」


すうっと藤壺の姿が遠のき、私の意識が浮上してゆっくりと目が覚めた。



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