平安物語=短編集=【完】



そして、たくさんの女房に付き従われていらした女御さまを拝した時…

きっと私、とても間の抜けた表情をしていたことと思います。


一瞬ぼーっと見とれて、次に

「かぐや姫…」

と思いました。


輝くような、清らかなお美しさ。

御方様にやんわりと微笑まれる笑顔は、この世のものとも思われないほど、絶世の美しさです。

身動きの一つ一つが洗練されていて優雅で、そっとお座りになる動作にも見とれました。

さらにその神秘的な美しさに輪をかけるような、大きなお腹。

女の、最も美しい姿です。

そのお腹を慈しむように、さり気なく無意識のうちに庇われるご様子は、有り難さに涙が出てしまいそうになるくらい、お見事でした。



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