平安物語=短編集=【完】
御方様が
「おはようございます。
お待ちしておりました。」
とご挨拶なさると、
「おはよう。
お邪魔致します。」
と仰るお声の、お美しいこと…
少し高めでよく澄んだ、大きすぎないお声です。
全くもって、帝がこの女御さまをこよなくご寵愛あそばすというのもごもっともです。
ふと周りを見ると、他の人々もうっとりと見とれているのでした。
それにしても、こんな女御さまのお隣にいらしても不似合いでない御方様も、やはり素晴らしいお方だとつい微笑んでしまいます。