平安物語=短編集=【完】



そして御方様がお帰りになるその日、女だけの合奏を楽しんでいた時に、急に女御さまが産気づかれたのでした。

予定より一カ月早いとのことで、周りの女房方はもちろん、御方様も非常に取り乱して御帳台の中までお付き添いなさったのでした。

私たちは白装束も用意しておらず邪魔なだけなので、御方様がお泊まりになっていた所に帰って待機しておりました。

何十人ものお使いやお見舞いがいっしゃって、さすがだと恐れ入ってしまいます。

そして、夜も明けてしまいそうだという頃に、見事男御子を御出産あそばしたのでした。



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