平安物語=短編集=【完】
宮様がお生まれになったのは師走の二十日あまり五日で、新年の支度も立て込んでいた時期でしたが、更に三日、女御様のお側についていて差し上げなさることになりました。
宮様の乳兄弟になる若君や右大臣様の太郎君もいらっしゃって、大変賑やかでおめでたいことです。
若君を生み奉りあそばしたばかりの女御様のお美しさは言葉を絶するほどで、いかにも愛おしそうに若宮を見つめる眼差しは、本当にありがたいものを拝している気分になりました。