平安物語=短編集=【完】
今日は久しぶりに参内なさる日なので、母君にお会いできると落ち着きが無いのです。
御年五歳におなりあそばしました。
「あっ、隆資。」
私の子であり宮様の乳兄弟である隆資を見つけて、駆け寄ろうとなさいます。
「宮様、きちんとなさらないと少納言の雷が落ちますよ。」
冗談めかして隆資がお諫めすると、宮様は思い出したように直立不動になられました。
隆資は七歳になり、よく宮様のお世話をしてくれます。