平安物語=短編集=【完】
そして如月の上旬に、非常に苦しんでやっと産み落としました。
何と喜ばしいことか、男の子です。
結婚に振り回されて憂き目を見ることもありません。
大臣が後ろ盾になってさえくだされば、この子は人並みに幸せになれるでしょう。
産湯など済ませた若君と対面して、思わず涙が出ました。
こんなに愛しい子を授かる、私と大臣とのご縁だったのだと思うと、これまでの大臣への恨めしさも消えてしまいます。
しかし私は大変な難産だったようで、どうにも生き延びられる気が致しません―…