平安物語=短編集=【完】
帝に尚侍として入内したのは、十六歳の時。
帝は十七歳で、当時まだ東宮でいらっしゃいました。
東宮様に入内予定だった姉上が、思いがけない帝の御所望により帝の女御になられて、その代わりにと差し出されたのです。
東宮様は、御所望でも何でもなかったのに。
寧ろ私は、東宮様と弘徽殿女御様との仲を邪魔するに過ぎませんでした。
それは、入内前から重々分かっていたのです。
だから私は、一つの決意をしました。