平安物語=短編集=【完】
父の圧力でしょうか、東宮様はしばしば私をお召しくださいました。
漢文好きという私の変わった趣味を喜ばれて、私の知らない事をあれこれ教えてくださいました。
その御講義の真っ最中でも、私は東宮様のお首に腕を回して口づけ、誘惑したりしました。
そう、私の決意。
それは、はしたないほど好色な女になりきることです。
ただの姫では何の変わり映えも致しませんから、他のお妃には出来ないような真似に出たのです。
東宮様は、お心は変わらず弘徽殿様におありでも、やはり殿方。
私が誘えば、理性を失って応えてくださいました。