平安物語=短編集=【完】
実家に帰ってからふた月ほどして、姉上も内裏を下がっていらっしゃいました。
今や帝の御寵愛を中宮様と二分する姉上ですから、帝もなかなかお許しにならないのですが、なんとか説得して私に会いに来てくださったのです。
こちらのお屋敷には、姉上がお産みした三の宮もいらっしゃいますので、お母上に会えるのを楽しみにしていらっしゃいます。
あの東宮様の異腹の弟君にあたるこの宮は、御年三歳で、私の良い遊び相手になってくださいます。