平安物語=短編集=【完】



私も思わず涙が滲んで、日頃の物思いを全て姉上に吐露してしまいました。


東宮様をお慕いしているのに、東宮様は女御様しか見ていらっしゃらないこと。

自らお慰み者に身を落としたとは言え、虚しくて仕方がないこと。

そして、生まれてくる子が男か女かということ。


姉上は、うんうんと聞いてくださいました。

姉上に申し上げたところで、姉上にもどうしようもないことは分かっています。

それどころか、姉上も悩ませてしまうかもしれません。

それでも、姉上が親身になって聞いてくださるだけで、随分と気持ちが軽くなりました。



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