平安物語=短編集=【完】
その夜、昼間お話しした姉上の事と、院に見た帝の面影のことを思い出して、寝付けずにおりました。
すると部屋の外で人の気配がします。
誰か女房が来たのかと思って顔を上げて見てみると、院が立っていらっしゃいました。
「院…?」
そのまま黙ってこちらにいらっしゃいます。
まだ話し足りなかったのだろうと、短い髪を軽く整えました。
すると、すぐ側までいらっしゃった院が、そのまま私に口づけました。