平安物語=短編集=【完】



その時、穴場とやらの様子を見に言った者が戻って来た。

「どうであった?」

「それが、先客がいまして。
女車が三台ほどとまっておりました。」

「ほう…
それはかえって興味深いことだ。」

すると、その者がニヤリと笑った。

私の色好みを熟知しているのだ。

二十一にもなって軽々しいかもしれないが、これと鷹狩だけはやめられない。


「では、気付かれないように歩いて行ってご覧になりますか?
そう遠い訳でもございませんし。」

「それは妙案。
案内致せ。」


その者と私と、もう一人連れて歩いて行くことにした。



< 561 / 757 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop