平安物語=短編集=【完】
その時、穴場とやらの様子を見に言った者が戻って来た。
「どうであった?」
「それが、先客がいまして。
女車が三台ほどとまっておりました。」
「ほう…
それはかえって興味深いことだ。」
すると、その者がニヤリと笑った。
私の色好みを熟知しているのだ。
二十一にもなって軽々しいかもしれないが、これと鷹狩だけはやめられない。
「では、気付かれないように歩いて行ってご覧になりますか?
そう遠い訳でもございませんし。」
「それは妙案。
案内致せ。」
その者と私と、もう一人連れて歩いて行くことにした。