平安物語=短編集=【完】



「お母様!」

凛とした美しい声が響きました。

声のした方を見ると、身分の高そうな装いの美しい女性が立っています。


「…大君。」

北の方は苦々しげにそう言って、振り上げた手を下ろしました。

大君はこちらにいらして、小さくなっている私の腕を引き上げて部屋を出ようとなさいます。

よろよろと、大君の誘導に素直に従いました。



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