平安物語=短編集=【完】
***



恐る恐る部屋に帰ると、もう何事も無かったかのように片付いていました。


「宮様…」

そのお姿を確認するだけで、ほっと涙が出てしまいます。

大君も心からお慕い申し上げておりますけれど、どうしてこうも、宮様は特別なのでしょう。


「紅葉の君…!」

そう駆け寄って強く抱きしめてくださるお胸の中で、この上ない安心を覚えました。



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