平安物語=短編集=【完】
その夜、宮様のお側に私だけが召されました。
「ねえ、どうしましょう!
私あの方と結婚するのかしら!」
頬を紅色に染めて、お目を輝かせておっしゃいました。
「帝がおっしゃったのですもの、きっと御結婚なさるのですよ!
良かったですねー!」
「うふふっ」
「それに、あのお方のあの御様子!
実は宮様を想っていらしたのですね!!」
「やだ、恥ずかしい…」
真っ赤な頬を両手で挟むその御様子のお可愛らしいこと。
゙両想い゙
私も宮様も、そう信じて疑わなかったのでございます。